吉本歯科医院で長く子供達の面倒を見てくれたり清掃をしてくれたりしている女性がいます。
この方のご主人が最近病気で亡くなりました。
病気がわかってから最後は自宅で献身的な介護生活。
息を引き取る1週間前には世話をしてくれる奥さんに向かって手を合わせて「ありがたい」と言ってくれていたそうです。
元気な時は腹も立つこともあったけれど、「ありがとう」のその一言で心があったかくなり、最後まで面倒を見ることができて本当によかったと話してくれるその表情はとても穏やかで優しいものでした。
しかし、逆に新聞を読んでいれば、「死んだ後、夫と同じ墓に入りたくない」と考えている妻の数も少なくはないという記事がありました。
社会的に成功していても、夫婦関係が噛み合わずいつも孤独感を持っている人は少なくはありません。
長い人生を一番共に歩くのは良くも悪くも結婚相手です。
吉本歯科医院には若きドクター新枝先生がいます。
そのうち開業する時までにはお嫁さんをもらってから開業したいと思っています。
「よ~く見定めていい奥さんを選んでね」と
ちょっと先輩なのでよくこんな話をします。
人生全体の成功と考えた時、死ぬ直前に「ああ、いい人生だった」と思えるために、結婚する相手の選択というのは実はとても重要なことだと私は思います。
失敗したら何度もやり直せばいい、のですが、結婚だけは、そう何度も何度もはやり直しがききません。
しかし、「結婚とは」「結婚相手にはどんな人を」「結婚生活とは」といった一連のテーマを学校では教えてはくれません。
家庭でも体系だって教えてはくれません。
育っていく過程の中で、「なんとなく感じとって」いくものでした。
私自身、若い頃には情熱のままに恋愛をしたり、外見に惹かれやすかったり、人気がある人を好きになったりしましたが、そのどれもが「燃え上がる炎ほど、消えるのもはやい」でした。
今、思うのは、独身の時に感じた恋愛と、結婚してからの夫婦の愛とはもうまったく別のモノということです。
夫婦や家族は淡々とした平凡な毎日の繰り返しです。
毎日の職場生活と似ています。
お互いに若い頃には美貌、美男子を誇っていても年を重ねるごとに下り坂になってくるんです。
美女もおばちゃんに、イケメンもおじちゃんに。そしていつかおじいちゃん、おばあちゃんに。
いつもオシャレして派手なデートを繰り返すことはできません。
恋愛の場合には、異質な2人であったり、反対者が多かったり、遠距離だったりすればするほど燃え上がります。
そこで「ああ、切ない」「ああ、恋しい」を繰り返すのが恋愛の醍醐味であったり、特徴です。
波乱万丈ほど、燃えるのです。
しかし、結婚生活は正反対です。
長期安定が何より大事なのが結婚です。
子供だって育っていくのにものすごい時間がかかります。
わが子は今、8歳と5歳ですが、まだまだ長期戦です。
5年、10年、15年、20年と時間をかけて、作り上げていくのが家族です。
結婚生活の舵取りは、女性にあります。
なぜなら男性の本質は「いくつになっても外に飛び回っていたい」存在だからです。
これに対し、女性はじわじわと蜘蛛の巣を張るように長期戦で自分の巣を固めていくことに喜びを見出していく本質があるからです。
根本的に違うのです。
女性の本質は長期的な戦略にあります。
最初の5年で徹底的に足場を固め土台を築き、大きな柱を立て、その次に・・・と、どんどん地面から確実に構築していくのです。
確実にじわじわと少しずつ基盤を固めていくことに喜びを見出していくのです。
目先のドッカーンとした短期的な成功を求めがちなのが男性の本質です。
目標を高く持ち、どこにでも飛んでいってしいたい生き物です。
そしてあっちの蝶がヒラヒラと華やかに舞っていたならフラフラと飛んでいってしまいがちなのです。
そして絶えず不安な存在です。
女性が地面から栄養を吸収し大きくなり根を張り大きな森を育てる存在だとしたら
男性は絶えず外に獲物を狩猟にでかけ、それを何度も繰り返し続ける存在です。
内なるものに目を向けエネルギーを注ぐことに喜びを見出す女性と
外へ外へと目が向きエネルギーを絶えず発散することに喜びを見出す男性の違いです。
女性のエネルギーは自家発電が可能です。
男性のエネルギーは絶えず充電が必要なんです。
充電してもらえる場所は「女性」です。
だから、「母港」が必要なんです。
安全基地が必要なんです。
男性は常に「もっともっと上へ、先へ」と目指す存在です。
もっと大きな獲物を勝ち取りたい、そして評価されることで自分の価値を高めていくことに幸せを感じます。
叩かれ否定されそれもまた肥しにし、伸びていくのが男性ですが
女性はその対極にあります。
叩かれたり批判されたりすることで、「よっしゃあ」と伸びていくことはないんです。
今の現状の中に小さな幸せをいくつも見つけて喜んでしまえるのが女性です。
よく社会に出ると「女は甘えてる」と言われますが、守られ甘やかされて生きていくのが女性の本質なのでしょうがないのです。
守られ安心するから能力を発揮するのが女性です。
男女はまったく異質な存在なのです。
同じ土俵で戦う相手ではないのです。
これから結婚する女性が知っておくべきことがあります。
それは、男性は皆、日々戦っている存在なんだということです。
そして、傷つきやすく、実際に傷つき、日々批判され否定され、叩かれそれでもなお「頑張らなきゃ」と生きている存在です。
どんなに表向きはクールでも内面はボロボロに傷ついているんです。
女性達が想像してもし尽くせないほど、
苦しい中で生きています。
お手軽に幸せを感じることができないのです。
女性から見れば
いとも簡単に得られる幸福感や満足感をそうそう簡単には得ることができないのが男性です。
女同士でワイワイ言って話して共感しあってすっかり元気になれる
という感覚など、男性にはありません。
このことを先に知った女性はラッキーです。
常に戦い傷ついている男性、そして競争から降りることができない、絶えず戦い続けなくてはならない男性が求めてやまない存在になればいいんです。
男性は欲しい欲しいと心の中で密かに渇望しているのは
自分のことを否定しない、批判しない場所です。
そして、否定しない、批判しない女性です。
「そんなことで!!ちっちゃい男ね!!」と言いたくなっても
ぐっと堪えてニッコリ、です。
女性が女性同士で誉めあうように、
男性のいいところだけを抽出し、認め、どんな欠点も「まあ、かわいらしい」と大目に見てどこまでも優しく甘やかして欲しいんです。
たっぷり甘やかされ優しくしてもらえ認められ感謝された男性はエネルギーを満タンまで充電します。
満タンまで充電したならば、その時点でほんの少し指摘をしたり、アドバイスをするのです。
順番が大事なのです。
① 愛情のコップを満タンにする
② 自分の主張を少し言う
これが正解です。
そしてそこが、男性の安全基地になるのです。
男性の安全基地になれた女性は舵取りができます。
安全基地でしばしエネルギー充電ができた男性は、また大きな獲物を取りに外の世界に出て行くのです。
「あなたのお陰よ」
「あなたはすごい!」
こんな感謝と賞賛の言葉が
絶えず欲しいのです。
シャワーのように、欲しいのです。
「・・・しょうもな」
と思ってはいけないんです。
女性の本質は長期的戦略です。
長いスパンでじわじわと心地よい空間を作り上げていくのです。
今が20代でこれから結婚するのなら、80歳くらいまでの長期戦略を立てるのです。
それができるのが女性の本質です。
当院の新枝先生は、「結婚するなら若くて美人で可愛くて、控えめで・・」と世の男性の理想像を話すのですが、容貌は10年、20年もすれば変わるのです。
年齢を重ねるごとにのぼり調子にはいかず、下って当然なんです。
長く生活を続けていくには
自分と相手は話がよく合うかどうか、です。
ある程度の価値観を同じかどうか、です。
そして、知的にモノを考えることができる相手かどうか、です。
感情のコントロールができる冷静に思考する習慣ができる人かどうかも、見極めるポイントかと思います。
顔がきれい、芸能人に似ている、人気がある、スタイルがいい
これらの若い頃のモテる要素は結婚生活には必要ないのです。
一枚の人生設計図を夫婦で描き上げることができるかどうか、が重要です。
1年後は
3年後は
5年後は
こうなっているよね
という設計図です。
とりあえずこの世で100年一緒にいるとしたら、今の時点ではここまでになっておこうね
と一緒に考える作業は夫婦の価値観をすりあわせるいい機会です。
一番最小の単位から固めていくのが、母性型です。